逆転のフルスイング
〜俺たちのWBC
西成から愛を込めて〜 全7試合
「WBCが見られへん?……それ、スリーアウトや!」
西成の酒場から始まった、
150億円の独占契約に挑む男たちの逆転物語。
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※本作はフィクションです。
実在の団体・人物とは関係ありません。
【第7試合決勝 俺たちのWBC】
その後日本はサトテルの大活躍もあり
無事に勝ち進んでいたが
準決勝で厳しい内角攻めによるデッドボールで
サトテルは左手小指を骨折してしまった。
「かなわんなあー、サトテル骨折かい、
折角の決勝出れないやんけ!」
といつも以上に上機嫌のやっさんは
大黒屋でたけさんと昼間っから
ビールを食らっていた。
その頃にはやっさんは少し有名になりかけていて
SNSにやっさんをアップする
ファンが大黒屋によく来ていた。
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「テル、またお前のことアップされてんぞ」
「なに?」
「これこれ」
画面からは
「サトテル奴らまたインコースくるぞ!
思いっきしインコースしばいたれ!
こうやこうや!こう打つんぞ!
そんでアメリカなんか
叩きのめしてスリーアウトや!」
というやっさんの動画をサトテルは嬉しそうに見つめた
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夜になりテレビ観戦の人たちで大黒屋はまたも
甲子園球場のような盛り上がりになっていた。
「きついなサトテル抜きは、
どこかで代打で出てくるんちゃうか」
そうサトテルは骨折の影響で
ベンチスタートであった。
試合は最終回日本は1点リードされた状況であった。
最後の攻撃に備え日本の
ベンチ前では円陣が組まれた。
「いいか、なんとか一人でも塁にでるんだ、
そうしたらテルを代打に出す。
なんとかランナーいる状況でテルに回すんだ。
打席に立てるなテル?」
そうイバタ監督に言われると
「当たり前っすよ。
思いっきししばいてやりますよ!」
とサトテルはバッティンググローブを
つけながら大声で答えた
.
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試合は進み
「よっしゃーようやったランナー出たぞ、
代打サトテルやー!サトテル出せー」
「サットテル!サットテル!」
大黒屋では大合唱が起きていた
「代打サトウ、代打サトウ」
場内に代打サトテルのアナウンスが流れた。
「サトテルいてまえー!しばいたれー!」
「ぶちこめー!いったれー!」
大黒屋のボルテージは最高潮に達した!
そしてピッチャーが投げた
初球インコース高めのストレートを
叩いたサトテルのフルスイングした打球は
ライト上段に突き刺ささった。
「入ったー代打逆転さよならホームラーーーン!」
一瞬の静寂の後、
実況の絶叫をかき消すほどの歓喜が、
やっさんの声が、
西成の薄暗い路地まで突き抜けていった。
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「たけさんこのラピートは豪華やないか、
南海さんさすがやな」
「やっさん当たり前や特急やで、
関空まで30分ちょいで着くんやで」
「サトテルにちゃんとありがとう
伝えないかんからな」
「その前に先に祝杯や」
そういうと二人は乗車前に勝っていた
缶ビールを開け乾杯をした。
関西空港には多くの出迎えのファンがいたが
最前列にはやっさんとたけさんが陣取っていた
「おいテル、あれSNSのおっちゃんじゃない?」
「おー西成のおっちゃんや。
お迎え来てくれたんだ。うれしいわ」
「やっさん来たでー、選手たち」
「おーほんまやほんまや。
サトテルー!サトテルーこちやこっち!」
多くの選手たちがゆっくりと
ファンが待っているロビーに近づいてきた
「サトテルー!なんやアルマゲドンの最後みたいやな!
かっこええわありがとなー!」
「おっちゃんありがとなー、
おっちゃんのおかげでホームラン打てたわ!」
「ほんまかいな!うれしいわ!
わしゃ今日最高に幸せや!」
そう言いながらサトテルはやっさんに
ガッツポーズをしながら歩き出し
それに応えるように
やっさんもガッツポーズをかえした。
そして選手の帰国を撮影に来ていたカメラ越しに
その光景を中西は見つめながら、
涙を堪えていた。
「、、、、ありがとう」
そして
「これが俺たちのWBCだった。」
と今晩放送するタイトルを決めた。
【俺たちのWBCゲームセット】 完
最後までお読みいただきありがとうございました。
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〜Sincerely,Stillframe〜